立花課長は今日も不機嫌
……とはいえ、私も話してもらいたいことに変わりはない。
入江くんは、まるで“待て”をされた飼い犬みたいに皿を凝視したまま、ブンブン首を縦に振る。
「よし」
“よし”って……。
そして、皿が戻ってくると、「いただきます」と手を合わせて箸を持った。
そこに、沙月が手を伸ばす。
「ちょっと待った。食べるのは話が終わってからよ」
「ええええ?」
眉尻を下げて、今にも泣きだしそうな入江くん。
ちょっと可哀想に思ってしまうけれど、私も話は先に聞きたい。
「ごめん、入江くん、話してもらえる?」
謙虚な姿勢でお願いしてみた。