立花課長は今日も不機嫌
「保身のためでしょ」
沙月が鋭く睨む。
「や、やだなぁ、沙月さん。そんなつもりは……。ただ、証拠がない以上、二人に話したところでどうしようもないだろうなって思って……。すみません、はい……」
だんだんと声が小さくなっていく。
「とにかく、話してくれてありがと」
「もう食べてもいいわよ」
沙月からオッケーが出た途端、間髪入れずに筑前煮を頬張る。
「……美味しいですねぇ」
口をモゴモゴとさせながら満面の笑みを浮かべる。
「当然じゃないの。私が作ったのよ?」
沙月が胸を張ったところで、それすら目に入らない入江くんは、次から次へと口の中へ運んでいくのだった。