立花課長は今日も不機嫌
押し黙る岩瀬さん。
沈黙が私を緊張させる。
でも、ここで断られるわけにはいかない。
岩瀬さんしかお願いできる人がいないのだから。
「お願いします、岩瀬さん。なんでも言うことを聞きますから」
『……な、何でもですか?』
声のトーンが一気に高くなった。
このまま押せば、きっと頷いてくれる。
もうちょっとだ。
「はい、何でもです」
『わ、わ、分かりましたっ』
耳の奥深くまで通った岩瀬さんの声に、携帯を思わず一旦遠ざける。
「ありがとうございます!」
きっと、私も岩瀬さんに負けないくらい大きな声になっていたと思う。