立花課長は今日も不機嫌

しかも、見えないというのに最敬礼のお辞儀付きだ。

日程を軽く打ち合わせて電話を切った。


一筋の光が見えたのを実感しつつ休憩室を出ると


「杏奈ってば、こんなところにいたの?」


沙月が小走りに近づいて来た。

急に姿を消したから心配させただろうか。

そう思いつつ沙月の言葉を待つと


「立花さんが探してたよ」


思いがけないセリフに「え?」と聞き返す。


「無茶はするなって伝えるように言われたんだけど……杏奈、何するつもりなの?」


私の腕を掴んで心配そうに見つめる。


「何って……立花さんを助けたいの」

「どうやって助けるのよ」


無理が滲んだ沙月の言いっぷり。

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