立花課長は今日も不機嫌
無茶なことかと聞かれたら、首を横には触れない。
でも、無理かどうかは、やってみないと分からない。
「削除されたメールを復元するの」
「そんなこと、どうやってするの? うちのシステムでも手に負えなかったんでしょ?」
「ある人に頼んだの」
「ある人?」
沙月の顔が曇る。
「お店に来てたシステムエンジニアのお客さんなの」
「……その人がやってくれるって?」
「うん」
「仕事じゃないのに?」
「……うん」
沙月の目がみるみるうちに鋭くなっていく。
全てを見抜きそうな眼差しに、つい目を逸らしてしまう。