立花課長は今日も不機嫌

沙月の大きな目につい負けそうになったものの、なんとか踏ん張った。

そうしてしばらく見つめ合った後


「……分かったわよ。もういい」


勝利が確定した瞬間、細く長く息を吐き出した。
安堵の溜息だ。


沙月は心配性だから。
余計なことは話したくない。


「杏奈とは絶交する」

「えっ!?」


安心したのも束の間、沙月が小学生のようなことを言い出した。


「大事なことを話してもらえないようじゃ、友達でいたって仕方ない。私のことを信用してないってことでしょ?」

「――ち、違うってば。余計な心配をさせたくないだけなのっ」

「ほら、やっぱり」


沙月の目が光った。

< 309 / 412 >

この作品をシェア

pagetop