立花課長は今日も不機嫌

「何? もしかして、立花さんとデートとか? ったく、杏奈ってば抜け目がないんだから」

「違うってば」


どうして私が立花さんとデートなんて出来るというのか。
そんなことを言われると、軽く傷つくというものだ。


「それじゃ何?」


ストレートに聞かれると、返答に困る。

そばには入江くんもいることだ。
うっかり岩瀬さんとのことで話せない。


「……まさか」


私の反応で沙月は敏感に気付いたらしい。


「例の約束?」


本当に勘が鋭い。
頷いた私を見て、沙月は小さく溜息を吐いた。


「大丈夫だよ、心配するようなことはないから」

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