立花課長は今日も不機嫌
ハンドル操作のミスには思えなかった……。
「明らかに故意よね。警察呼びましょ、警察。これは人身事故よ! いいえ、傷害事件よ!」
興奮冷めやらぬように良樹さんが息を巻く。
障害事件……?
物騒な単語が、今起きたことの矛盾点を浮かび上がらせる。
……確かに。
駐車場の出入口という場所は、猛スピードで走行するところじゃない。
それに、いきなり点けられたライトだって不自然だ。
まるで狙いを定めて突っ込んできたように。
……狙いを定めて?
自分で想像したことなのに、その想像が恐怖を遅れて連れて来た。
震え始める手足。