立花課長は今日も不機嫌

恥ずかしさよりも、立花さんの腕の中を取りたかった。


「あの……」

「あら、あなたまだいたの?」


良樹さんが振り返った先には岩瀬さん。
モジモジとしながら、少しずつ私たちの輪の中へと入って来た。


「さ、さっきの車ですが……」

「車がどうかしたの?」

「咄嗟に写真を撮りました」

「写真!? ほんとに!?」


遠慮がちに携帯を差し出た岩瀬さんに良樹さんが食いつく。


「ど、どうぞ……」


岩瀬さんから携帯を受け取ると、良樹さんは顔を近づけて画面を凝視した。
立ち上がった立花さんも、それを覗き込む。


「レンタカーか」

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