立花課長は今日も不機嫌
良樹さんも私と同じことを思ったらしい。
「すぐに警察に行かなきゃダメよ。証拠だって目撃者だって、こうして揃ってるんですから」
私もそう思う。
しばらく考え込むような表情をした後、立花さんは良樹さんを真っ直ぐに見て首を横に振った。
「警察に突き出すのは後だ。その前に俺が……」
〝俺が“って……?
立花さんが拳をギュッと握り締める。
持っていた岩瀬さんの携帯が折れてしまうんじゃないかと、そばで見ている私はハラハラしてしまった。
「海人、あなた、もしかして見当がついてるの?」
――え? そうなの?
良樹さんの質問はスル―。
立花さんは私へと顔を向けると、「大丈夫か?」と心配そうに尋ねた。