立花課長は今日も不機嫌
「……はい、大丈夫です」
それよりも、立花さんの怪我の方が心配だ。
「今夜は、杏奈ちゃんを一人にしたらダメよ?」
「分かってる」
――え?
二人のやり取りにドクンと鼓動が音を立てる。
一人にしちゃダメって……。
それって――。
ついさっきまで恐怖に震えていたはずの心臓は、淡い期待に高鳴っていく。
まだ断定はできないものの、狙われたばかりだというのに不謹慎だ。
ちょっとした葛藤の中、立花さんは私を車の助手席に乗せたのだった。