立花課長は今日も不機嫌

②二人だけの夜が、妄想を加速させる



連れて来られたのは、2度目になる立花さんの部屋だった。


〝今夜は一人にしちゃダメ“ってことは、一晩ここに……?

――泊まるってこと?


立花さんと良樹さんのさっきの会話を思い返して、一人頬が熱くなる。

立花さんはソファに座ると、取り出して来た救急箱らしきものを脇に置いた。


「あっ、私がやります」


立花さんの前に跪き、救急箱を開ける。


「悪いな」

「いえっ、私の方こそ、庇ってもらってすみませんでした。……ありがとうございます」


あそこで立花さんが抱き留めてくれなかったら、この怪我をしていたのは私だ。

ううん。
もっと重症を負ったに違いない。

< 359 / 412 >

この作品をシェア

pagetop