立花課長は今日も不機嫌
②二人だけの夜が、妄想を加速させる
連れて来られたのは、2度目になる立花さんの部屋だった。
〝今夜は一人にしちゃダメ“ってことは、一晩ここに……?
――泊まるってこと?
立花さんと良樹さんのさっきの会話を思い返して、一人頬が熱くなる。
立花さんはソファに座ると、取り出して来た救急箱らしきものを脇に置いた。
「あっ、私がやります」
立花さんの前に跪き、救急箱を開ける。
「悪いな」
「いえっ、私の方こそ、庇ってもらってすみませんでした。……ありがとうございます」
あそこで立花さんが抱き留めてくれなかったら、この怪我をしていたのは私だ。
ううん。
もっと重症を負ったに違いない。