立花課長は今日も不機嫌

……そういえば、立花さんは、ことごとく岩瀬さんは危険だって言い続けていたっけ。

ことあるごとに岩瀬さんを否定してきた立花さんを思い出した。


「佐伯が絡むと、感覚が鈍るらしい」

「……はい?」

「いや、何でもない。それより、さすがに巻き過ぎだ」

「えっ……」


言われて改めて立花さんの腕に目を落とす。

――確かに。
目の前には、包帯でぐるぐる巻きにされた立花さんの腕があった。


「すみません、やり直します」

「いや、もうこれでいい」

「でも、」

「いいと言ってるだろう」


軽い押し問答の末、結局は不格好なまま放置することになってしまった。
我ながら不器用すぎる。

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