立花課長は今日も不機嫌

「はい。立花さんこそ、腕は……どうですか?」


袖口から覗かせた包帯は、私が巻いた不格好なものではなくなっていた。

診断書が必要だと警察に言われて、慌てて病院へ行ったのだ。


「大したことはない。ちょっと大袈裟なだけだ」


私を心配させないために言ってるんだろうけれど。
3針も縫う怪我だったのに。


立花さんのことだ。
警察に言われなければ、病院にすら行かなかったかもしれない。

そう思うと、また無理しているんじゃないかと不安になる。


「金曜日の夜の予定は?」

「え……?」

「空いているかと聞いてるんだ」

「あ、はい、空いてますけど……?」

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