立花課長は今日も不機嫌
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それから金曜日までの数日間、立花さんのセリフで頭の中はいっぱいいっぱい。
キャパオーバーもいいところで、そのことを考えるだけで早鐘を打ち始める心臓が、金曜日まで持つのか不安になるほどだった。
そして、その当日。
タイムカードを通したと同時に携帯に入ったショートメールは、立花さんからのものだった。
“下に車をつけてある”
あっさりした一文に、いちいちドキッとする私。
急いでバッグを持ってエントランスを出る。
すると、立花さんの車は人目に付かないためにか、エントランスから数十メートル離れた植込みの陰に停められていた。
近づくと、センサーでも付いているのかと思わせるグッドタイミングで助手席のパワーウィンドウが下がる。
中から立花さんが顔を覗かせた。