立花課長は今日も不機嫌
「何も、取って食おうってわけじゃないんだから」
「はい?」
急に話しかけられて、素っ頓狂な声が出てしまった。
「ガチガチに固まりすぎ」
「――っ、そ、そんなことは……」
誤魔化したところでバレバレだ。
立花さんがクスクスと笑う。
「あの……どこへ行くんですか?」
「俺の部屋」
あっ……
そうなんだ……。
“部屋”というキーワードが、私の妙な妄想を加速させる。
立花さんと車内に二人きりという事実と相まって、尋常じゃない速さで鼓動が打ち付ける。
もう限界だと思ったところで、立花さんのマンションへ着いたのだった。