立花課長は今日も不機嫌

「みんながいますから……離してください……」


誰かがこっちに来ないとも限らない。

ただでさえフル加速の鼓動に、“ハラハラ”まで加わるだなんて、私自身でも心臓の面倒をみきれない。

それなのに立花さんときたら


「ここは俺の部屋だ」


邪魔者はあっちだと言わんばかりの口調だ。


「それに……」

「それに?」

「……立花さんの気持ちを……聞いてないです……」


ボソボソと答える。
どちらかといえば、そっちの方が引っ掛かっていた。


「今、佐伯をこうしていても分からない?」


私をギュッと抱き締める。

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