立花課長は今日も不機嫌

“お邪魔虫は帰りまーす。海人も不機嫌だしね。甘い夜をお過ごし。良樹”

それは、立花さんに劣らず綺麗な文字で書かれた、良樹さんからのメッセージだった。


いつの間に帰ったんだろう。
そんなことにも気付かずに、立花さんと抱き合ってたなんて……。

立花さんを相手にして余裕がないから仕方ないとしても、没頭しすぎだ。

さっきのキスを思い出して、恥ずかしさが込み上げる。


「ったく、兄貴のヤツ……」


クシャっとメモを潰しながら、立花さんは笑みを浮かべた。

不意にその笑みが私へと向けられる。
どう反応したらいいのか出方に困って、再びぎこちなく目を逸らしてしまった。


「だから、その反応は逆効果だ」


ソファに座った立花さんが私の手を引く。

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