立花課長は今日も不機嫌
霧子さんは私より5つ年上の32歳。
この業界で言えば歳はいっている方だと思うけれど、この店では断トツの人気を誇っている。
なんでも、高校生のときに振られた彼氏を見返すために、“女の中の女”を目指すべくこの道へ入ったらしい。
いろんなお店を転々としてきたそうだけれど、この店はもうすぐ3年になるということだった。
「それじゃ、そろそろ行こうか、杏奈」
「はい」
霧子さんの後に続いて、煌びやかなフロアへと出る。
店内は既に数組のお客がテーブルに着いていた。
「霧子さんはあちらのテーブルへお願いします」
早速ご指名だ。
ウエイターから声を掛けられた霧子さんは艶々の唇で「了解」と言うなり、そのテーブルへと向かう。