立花課長は今日も不機嫌
「ちょっと、何するんですか!」
入江がすかさず沙月の反対の手を引っ張った。
「沙月さんはダメです」
「あら、どうして?」
「……それは……」
「それは?」
良樹の顔が入江にグンと近づく。
「――俺の彼女になる予定だからです!」
勢いに任せて出た言葉に、沙月が目を見張った。
「……ちょ、ちょっと、勝手に決めないでよ」
「そうよ。ダメよ。入江くんにはこの私がいるでしょう?」
「――はい!?」
良樹が今度は入江を引き寄せた。
「わっ、ちょっと! 勘弁してくださいよぉ。さ、沙月さん! 助けてください!」
良樹の腕の中でもがく入江。
クスクスと笑うと、沙月は
「さ、岩瀬さん、二人は放っておいて行きましょ」
岩瀬と肩を並べて歩き出した。
「沙月さーーーんっ!」
―おまけ①Fin―