立花課長は今日も不機嫌

「ちょっと、何するのよ! 死ぬかと思ったじゃない!」


地団駄で猛抗議。
そんな仕草にも女性らしさが漂う。


「余計なことは言わなくていい」

「余計なこと? んもうっ、いつもいつも冷たいこと言うんだから。いいじゃないのよ、私たちは正真正銘の兄弟なんだから」


――やっぱり。
この良樹さんって人、立花さんと兄弟なんだ。
言われてみれば、どことなく似ている。

ついまじまじと二人を見比べてしまった。


「姉と弟と言った方が正しいかしらね」

「誰が姉だ。ったく」


立花さんが呆れ顔で捨て台詞を吐く。

そして、観念したのか


「兄貴だ」


ぶっきら棒に私に言ったのだった。
< 68 / 412 >

この作品をシェア

pagetop