立花課長は今日も不機嫌
「だから、兄じゃないでしょう? 姉よ、姉」
紹介の仕方に不満を持った良樹さんが、立花さんの腕に絡みつく。
あくまでも女性にこだわりがあるらしい。
「どこからどう見ても男だろうが」
「ヒドイことばっかり言うんだから。その言葉に私がどれだけ傷つくと思ってるの?」
ぷぅと頬を膨らませる。
「そんなの知ったことか」
強い口調だけれど、どこか優しい立花さんの眼差し。
……なんだかこの二人って仲が良いな。
ケンカには全く見えない言い合いが、なぜだか微笑ましくて、見ている私の方の頬が緩んでしまう。
それに気づいた立花さんは良樹さんの身体を突き放すと、バツが悪そうに鼻の頭を掻いたのだった。