立花課長は今日も不機嫌
ジリッと後ずさる。
……でも、ちょっと待って。
静かなるパニックを起こしかけている私を平然とした様子で見る、立花さん。
……もしかして、私に気付いていない?
よくよく考えてみれば、メークといい、このバニーちゃんの格好といい、会社での私とは全く違う雰囲気。
それに、会社では特別目立つ存在でもない私。
これは、気付かれていないかもしれない。
ドキドキと早鐘を打つ胸を宥めるべく、自分に都合のいいことを考えていると
「早く座ったらどうだね」
50代の方の男性客から声が掛けられた。
……名前は何だっただろう。
霧子さんが前に話していたような気がするけれど……。