立花課長は今日も不機嫌
「あ、うん、ちょっと……」
適当に誤魔化そうとしたものの、沙月が私の顔を覗き込む。
目をそむけたところで、沙月の視線が追いかけて来た。
「誰かにプレゼント?」
「ち、違うよ。……ちょっと使ってみようかなと思っただけ」
私に万年筆は似合わない。
苦しすぎる言い訳に沙月の目が細められる。
もう一度目を反らすと、ますます怪しいと言って沙月が探りを入れてきた。
「時間つぶしの相手、見つけたの?」
コソコソと耳打ちをする。
……時間つぶしの相手?
何のことだろうと思ったのは一瞬。
この前の沙月のアパートでの会話から、それが彼氏のことを指しているんだとすぐに気付いた。