立花課長は今日も不機嫌
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翌日、いつもより早い時間に出勤してみると、まだ誰もいない社内は今まで見たことのない静けさに包まれていた。
普段の私は、出勤時間ギリギリ。
既にほとんどの人が出勤して仕事の準備に取り掛かっている、ザワザワとした喧噪の中に飛び込んでいくから、物音ひとつ、人の気配すらしない社内は、ものすごく新鮮だった。
ロッカールームで身支度をして、向かうは滅多に出入りしない人事部。
携えた紙袋の中には、昨日綺麗にラッピングしてもらった万年筆が入っていた。
誰もいないだろうとノックもせずに人事部の扉を開ける。
――と、そこで。
思わぬ人とバッチリ合った目。
新聞から立花さんが顔を覗かせていたのだ。
「……佐伯?」