立花課長は今日も不機嫌
「お、おはようございます」
慌てて頭を下げて挨拶をする。
もう出勤しているなんて、想定外だ。
「おはよう」
――うっ、どうしようかな。
立花さんが出勤してくる前に、デスクにこっそり置いてしまおうという私の策略は、実行に移すことが出来なくなった。
直接手渡すことを想定していなかったものだから、その場で固まる。
紙袋の取っ手をギュッと握り締めた。
立花さんと二人きりという重い空気が、鼓動を速まらせる。
「……何だ」
「あ、あのですね、」
「バイトを辞める決意が整ったか」
「いえっ、」
そっちじゃなくて……。