立花課長は今日も不機嫌
仕事じゃないとすれば、また何か叱られるのかも。
嫌な予感を抱いたまま、恐る恐るメールを開く――……。
【18時 向かいの本屋の前へ来るように】
件名も省かれたメール本文には、たった一言それだけだった。
今度は何事だろう。
もしかしたら、今朝渡した万年筆が気に入らないと言って突き返されるのかもしれない。
9万円強と3万円弱の物の違いを早くも感じ取られてしまったのかも。
用件が読み取れないだけに、増すのは不安ばかり。
……でも、行かないわけにはいかない。
何しろ、相手はあの立花さんなのだから。
「お先に失礼しまーす」
次々に去っていく部署内の人たちを見送りながら、私もようやく重い腰を上げたのだった。