立花課長は今日も不機嫌
……私、なんで立花さんの車になんて乗ってるんだろう。
浮かぶのは、当然の疑問。
「あの……どこへ行くんですか?」
今夜はバイトも入ってるし、出来ることならば早く解放してほしい。
けれど、弱みを握られた私が、そんなことを口にできるわけがない。
まだ辞めないつもりかと、叱責が飛んできそうだ。
「ちょっと付き合ってもらうぞ」
「え? え? どこにですか?」
思わず身を乗り出して、立花さんの横顔を見つめる。
けれど、その質問に答える気は一切ないらしく、立花さんはただ前を向いてステアリングを握るばかり。
もう一度した同じ質問にも、反応はなし。
私は大人しくシートに身体を預けるしかなかった。