立花課長は今日も不機嫌
コインパーキングに停められた車から降りると、さっきよりは小降りになったものの、まだ降り続いている雨。
運転席から降りた立花さんは
「ここからすぐだから走るぞ」
そう言って駆け出してしまった。
「――え? あ、ま、待ってください!」
置いていかれては困る。
その背中を必死に追いかけた。
すぐって、いったい何が“すぐ”なの!?
クエスチョンマークが頭の中に連立する。
すると、立花さんが言った通り、目的地はすぐそばだったようで、立花さんが立ち止まったところまでそれほど濡れずに済んだ。
「ここだ」
……ここ?
立花さんの指が示したのは、何かの飲食店のような店だった。