立花課長は今日も不機嫌
店内にはカウンターが10席ほどとテーブル席が3つあって、席は半分埋まっていた。
オレンジ色の間接照明にダークブラウンで統一された内装。
落ち着いた大人の雰囲気のお店だった。
「えっと、あなたは確か……杏奈ちゃんだったわよね」
「はい」
覚えてくれていたことが嬉しくて、笑顔で頷く。
「ささ、海人も杏奈ちゃんも座って座って」
熱烈な歓迎を受けながら、案内されたカウンターへと腰を下ろした。
「さてと、杏奈ちゃんは何にいたしましょうか」
こういうところなら、きっとカクテルだよね……。
けれど、カクテルは全然詳しくない。
メニューらしきものを探したものの、それも見当たらなかった。
どうしようかな……。
「杏奈ちゃんは、どういうお酒が好き?」
迷っていることに気付いた良樹さんが、すかさず質問を投げかける。