立花課長は今日も不機嫌

「あ、はい……」


コクンと頷くと、立花さんはシッシとばかりに良樹さんを手で追い払った。


途端に私たちの間に訪れる沈黙。
それが重くて重くて、どうしたらいいものかと何か話題を探す。


良樹さんがいてくれた方がよかった。
そう思ってみたところで、良樹さんは忙しそうに他のお客さんの相手をしている。

……ふぅ。
立花さんには聞こえないように溜息を吐いた。


「これ、」


立花さんが不意に口を開く。

カウンターには、私が今朝無理矢理渡した万年筆が置かれた。


――やっぱり返されるの?
気に入らなかったんだ、きっと……。

さすがに九万円には敵わないか。



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