立花課長は今日も不機嫌
「すみません、買い直してきま――」
「気を使わせて悪かったな」
……え?
初めて見せられた穏やかな横顔。
柔らかな笑みに目が釘付けになる。
そんな顔、するんだ……。
……なんだかすごく……意外。
立花さん=厳しい顔という勝手な像を作り上げていた私。
トクンと弾んだ鼓動が静かに加速していくと同時に、胸の奥がなぜかキュっと軋む。
自分でも説明のつかない事態が、意思に反して訪れた。
「俺の顔に何かついてるのか」
あまりにも凝視しすぎていたらしい。
立花さんが不意にこちらを見た。
「――っ、あ、いえっ何も……」