移行期間。





「おはよう。」


「あっ、おはよう。」


「今日、雨だね。」


「だな…」


篠原と上手く会話ができない。


もっとちゃんと話したいのに、言葉がでてこない。


いつも、何を話していたんだっけ?


何であんな笑ってられたんだろう?


そうやってだんだんわからなくなって。


一日中尽きることのなかった会話がどんどんなくなっていって。


いつの間にか、二人の間に会話がなくなった。


朝学校に来て“おはよう”って言って。


帰るときは“バイバイ”か“一緒に帰る?”って。


そんな会話すら、なくなってしまった。



つい最近までは嬉しくてしょうがなかった篠原の隣の席が。


今は地獄の場所にしか思えなかった。






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