移行期間。
なのに、振り返って目に入った篠原の顔は、笑ってはいなかった。
「……何で普通なわけ?」
篠原の低い声に思わずビクッとする。
「えっ…」
もしかして怒ってる?
何かマズかったかな?
「ムカつく。俺ばっか……マジ、ムカつく…」
「な…んで……」
泣いちゃダメ。
篠原は冗談で言ってるんだよ。
前みたいに。
また戻れたんだよね…?
そう…だよね……?
でも…
でも、じゃあ何で…?
何で篠原はこんな目してんの?
何で目も合わせないの…?
そう考えたらどうしたらいいのかわからなくなって、思わず俯いてしまった。