移行期間。





「はぁ…」


俯いて黙り込む私を見て小さくため息をついた後、篠原はゆっくり話し始めた。


「前にも話したけど…

俺の好きなヤツって、友達でさ。てか、今は過去形なんだけど?」


ズキン…


それって、付き合うことになったとかかな…?


何で今さら胸が痛むんだろう?


もう諦めたはずなのに…


元に戻るって、友達に戻るって決めたのに…


何でこんなに泣きたくなるんだろう。


「いろいろあったからさ、俺、嫌われたんだと思ってたんだ。」


「………」


「でもさ、この間、真下に聞いたら『お前の勘違いじゃん?』って言われてさ。だから確かめたくて。それで、最後の相談に来たんだ。」


「………」


泣いちゃダメ…


笑わなきゃ。


じゃなきゃ、友達になんか戻れない。


友達になんか…













「お前、俺のこと、嫌い?」


「えっ?」


「俺はすごく好きなんだけど、高瀬は俺が嫌い?」


何が何だか理解できなくて。


私に言ってんの?


だって篠原は親友って言ってたじゃん…


何で…?



その疑問は解けそうにないけど、嘘でも何でも、その言葉が嬉しくて。


気づけば涙が溢れ出していて。


「なぁ、俺の恋は叶いそうかな?」


止まらない涙を拭いながら、ただ頷くしかできなかった。


そんな私を見て、嬉しそうに飛び跳ねる篠原がすごく愛しくて。


大好きだなぁって改めて思った。






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