女神の微笑み
ユミは笑いながらそう言ってとなりにいたアヤを紹介した。
「よろしくね」
アヤも笑ってさくらにそう言った。
こうして三人は出会った。人なつっこくて、誰とでも話すユミの明るい性格が、三人を出会わせたのだ。
そしてその日から、時と共にさくらは変わっていった。内気だった性格は徐々に明るくなり、髪も整え、茶色く染めて、眼鏡もはずしてコンタクトレンズに変えた。そして薄く化粧もすることで、校内の男達のみならず、街ですれ違う男達が思わず振り返るようになった。
世界が変わり、さくらはこうなって初めて、心から今が楽しいと思えた。
でもどこかで、さくらはこの時アヤに嫉妬していたことに、気がついていたのだろう。三人でいる時は必ず、男達はまずアヤを見る。アヤといる時は、自分やユミの美しさが、霞んでいるように思えて仕方なかった。そしてそれは今も変わることはない。
とは言えこうして出会った三人が、<別々>になることはなかった。家が近かったアヤとユミに比べ、さくらは駅で言えば5つほど離れてはいたが、それでも、校内でもそうだし、学校を抜け出して遊びに行く時も、休みの日、カラオケに行ったり、夏は海に行ったり、冬に
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