女神の微笑み
喋るのもつらそうに、拓也が細い声で言った。
言われるまでもない。アヤは昨夜の自分を何よりも悔いていた。
はってでも帰り、二度とこないつもりで、ぐったりしているユミとさくらを誘った。
「出よっか?」
アヤの問いにさくらが答えた。
「だるいよ、もう一回やってほしいな」
確かに、この重い体をかるくするにはそれしかないのかもしれない、でもそれではキリがない。あんな自分はもう二度と見たくない。そんなプライドが、アヤをかきたてる。
「何言ってるの、早く、先帰ってもいいの?」
ユミもさくらも、心のどこかではアヤと同じ思いを感じていたのだろう。ゆっくりとではあるが身支度を整え、アヤと共に、帰ることを選んだ。



それから一時間後、三人はアヤの家にいた。母親はいなかった。また男のところにでも行っているのだろう。
「アヤ、ごめんね、お邪魔しちゃって」
ユミが言った。
アヤはどうしても二人が気になり、連れてきてしまったのだ。<もう一度やりたい>なんて言葉を耳にしてしまえば、誰だって心配になるだろう。
三人は男達を残して部屋を出た後すぐに、タクシーを拾った。しかし、なんとも言えない脱力感の中でうなだれている二人を見て、アヤは必死に、
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