女神の微笑み
例え変わろうと決意したとしても、人が実際に思いを棄て、あるいはプライドを棄てて、その変化を見せることは何よりも難しい。

その時だった。

やさしくアヤを抱きよせた白鳥の唇が、静かにアヤの唇に重なった。

そういうことか…

頼ることを拒み、強がり続け、孤高と見える孤独の中にいたアヤの心は、本当は誰よりも、繊細(せんさい)だったのかもしれない。

でもアヤは、今は全てを許した。

うれしいと思えたことは事実だから。

私のためだけを思い、今まで知らずのうちに助けられていたのは事実だから。

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