女神の微笑み
アヤに背中を見せたまま、風間はその一言だけを残し、エレベーターの方へと去って行った。


もう二度と、さくらに会えなくなることをわかったうえで、でも風間は、アヤにこにこの一言だけを残したのだった。

こうなることはわかっていたのだ。

アヤの瞳を見たあの日から。

全てを悟ったアヤは何も言わず、静かに、去って行く風間の背中から視線を外し、504号室を見つめた。


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