女神の微笑み
その後病院に運ばれたアヤはそのまま意識を取り戻すことなく、息をひきとった。

あっけない、あまりに儚(はかな)い、少女の最後だった。

泣きじゃくるユミとさくらの横で、かすかな微笑みを浮かべたまま永遠の眠りについたアヤ。

この女神のように美しかった少女の最後の微笑みは、何を語っているのだろうか。

さくらを助けることができたことへの微笑みか、それとも確かに生きたと思える人生への微笑みか、それともまた、別の何かがあるのだろうか。

でも確かにアヤは笑っていた。

その人生に多くの疑問を持ち続けながら、今を生きていたアヤも、最後は確かに、笑ったのだ。

その意味をどうとるかは、また人それぞれの解釈に委(ゆだ)ねよう。

ただ、残された者にこそ、アヤに言ってあげたい言葉がある。

ありがとうって。

だからこそ…
生きてください。
あなたも…

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