女神の微笑み
私、なんでこんなとこにいるのだろう、あの夜あんな男達についていかなきゃよかったのに、麻薬なんかやらなきゃよかったのに、考え出すととまらない。
そもそも、あの時アヤがいれば、三人共麻薬なんかやらずにすんだかもしれない。
なんで帰っちゃったのだろう、後から来たってもう遅いよ。
もしかしてアヤ、知ってたの?
無理矢理男達に麻薬をやられたのだって、演技だったのかもしれない、結局やったのだから納得もできる。捕まりそうになって冷静だったのだって、あの意味不明な百万のことだって、本当にほしくて言ったの?!無理矢理やられたことになれば、先に出るのはアヤだ。
少なくとも外に出るまでは確認もできない。
でもそうすると妙につじつまが合う気がする。
きっとそうだ、アヤは知ってたんだ…
とてつもなく大きな不安を、さくらはそう思うことで、自然と忘れようとしていたのかもしれない。
でもこんなあてつけともとれるさくらの、アヤへの憎しみは、この時から芽生え、ほんの始まりにすぎなかった。

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