女神の微笑み
「あ、アヤおはよう、今起きたの?」
嬉しそうに微笑んだユミが言った。
「おはよう」
アヤも答える。
「ちょっと待ってね、用意するから」
アヤが続けて言うとユミが笑顔で首を縦にふって答える。

部屋に戻り、制服に着替え、薄化粧を整えながら、アヤはふと思う。

鏡に映る自分を見て、私が心から笑えたのは、いつが最後だっただろうと。

大人になること、歳をとること、それは今のアヤにとっては、なんの価値も感じないことなのかもしれない。

時間だけは、人間誰に対しても平等に与えられたもの、しかしその時間の使い方でさえ、誰かによって定められているかのように、ある者は教育のもとに学校へ行き、やがては夢、または希望という名の欲望を捨て、働くことでのみ、認めることの許された社会へと、巣だっていく。

生き甲斐とか、価値観下げただけの幸せとか、そんなもので、ウワベを飾ることだけは忘れずに、同じような日々を、ただ繰り返して。

「アヤまだあ?」

リビングで待つユミが言った。

「今行く!」

アヤは慌てて身支度を整え、ユミの待つリビングへ向かった…



教室に着くと、待っていたかのように声をかけてくる者がいた。

「おはよう!」
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