女神の微笑み
アヤはこんなのぜんぜん平気なんだろうな。
不安でどうしようもないユミは思う。
でも実際は違う。
アヤもまた不安だった。誰かと話したくて仕方なかった。
できるならこの壁に穴を開けて、ユミとヒソヒソ話しでもできたらと思う自分を、必死におさえた。
あの時、母と別れたあの時、強くなろうと決めたんだって、不安や涙は二度と見せないんだって、そう決めたことが、<アヤ>を、一層、<アヤ>から離していった。
一方、自分の不安は人の不安、とでも言うかのように、ユミは不安を隠さない。どちらがいいとは決して言えないが、慰めるべき人間がいるなら、ユミのほうが幸せなのかもしれない。
もっとも、ここで言う<幸せ>と言う言葉が正しいのかはわからないが。
アヤもう寝たかなぁ、トントン、とユミは壁を叩く。トントン、とアヤも返す。
やがてその音も鳴らなくなり、どちらからともなく二人は眠りにおちていった。
不安でどうしようもないユミは思う。
でも実際は違う。
アヤもまた不安だった。誰かと話したくて仕方なかった。
できるならこの壁に穴を開けて、ユミとヒソヒソ話しでもできたらと思う自分を、必死におさえた。
あの時、母と別れたあの時、強くなろうと決めたんだって、不安や涙は二度と見せないんだって、そう決めたことが、<アヤ>を、一層、<アヤ>から離していった。
一方、自分の不安は人の不安、とでも言うかのように、ユミは不安を隠さない。どちらがいいとは決して言えないが、慰めるべき人間がいるなら、ユミのほうが幸せなのかもしれない。
もっとも、ここで言う<幸せ>と言う言葉が正しいのかはわからないが。
アヤもう寝たかなぁ、トントン、とユミは壁を叩く。トントン、とアヤも返す。
やがてその音も鳴らなくなり、どちらからともなく二人は眠りにおちていった。