女神の微笑み
それを言った母は今までアヤが見たことのない、遠い悲しい目をしていた。

「えっ…?」
「後もって一年…余命宣告までされちゃったよ。それ聞いたら何故か無性にあんたの顔見たくなってさ」

アヤの答えを待たずに母が続ける。

「でも、元気にやってるみたいだね。あんた強いしね。なんかみっともないとこ見せちゃったな」

無理に笑って見せながら、母は言った。

「今の…ウソだから、後、仮退院の日は迎えに来るから。じゃあね」

「あっちょっと」

それだけ言い残し、母は一方的に、立ち去った。


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