女神の微笑み
それは時がたつにつれて、ユミの中で大きな悩みともなっていった。
自分ばっかりが、こんなに助けてもらって、私はこれまでアヤに何をしてあげられただろう、アヤを助けたい、アヤの力になりたい、私ってけっこう頼りないのかなぁ、もっとしっかりしなきゃ…それこそが、今のユミの最大の悩みでもある。 もちろん、思い切ってアヤにこの想いをぶつけてみようと思ったことはある。でも何故か、そうすることで二人の仲が壊れてしまうような気がして、それが一番怖くて、今もまだ、言えずにいる。
ただ今は、いつか自分が、アヤの中で、アヤに慕われるほどの存在になれた時、自然とそれは解決するものと信じ続けることで、その想いは少し、抑えられてはいる。

こんなふうにして二人は出会い、中学三年間のほとんどを、共に過ごした。

煙草や万引きもまた、悪いことだとわかってはいても、二人でやるから、楽しかった。


だからこそユミは、気がつけば、アヤと同じ高校に進学することを、決めていた。


そこで二人は初めて、さくらと出会うのである。

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