天使のなり方
「黒須くん、私にもう構わないでくださる?黒須くんのおかげで私が作ったおいしいお弁当もおいしくなくなってしまうわ……」


「何が私の作ったおいしいお弁当だよ…。気持ち悪いこと言ってるのはお前だろ…」

二人の言い合いは止まりそうにない。


「喧嘩するほど仲が良いとは言うけどさ、二人とも、それくらいにしとけよ。周りがひいてるよ」

そんな鶴の一声を発したのは里谷陵だった。

気がつけば教室にいる生徒皆がねおんと大也の方へ視線を向けていた。

あわててねおんは口をふさいだ。大也の方は動じる素振りを全くみせていない。

「里谷くん……仲が良いとか誤解だわ。黒須くんがちょっかい出してくるから……」

「先にねおんが、俺のことあることないこと言うのが悪いんだろ……」

「ないことは言ってないわよ!!本当のことしか言ってないわ」

「「だからやめなって!!」」
陵と美子の声がシンクロした。



「あ、ごめん……つい」
二人同時に同じことを言われたねおんはさすがにシュンとした。
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