天使のなり方
「白羽さんってなんか、黒須のことになるとかなり自分のペース崩されてるよね…」

陵は少し苦笑いしながら言った。


「ふーん、そうなんだ。俺と再会したことに、そんなに動揺してるんだ」

大也は少しニヤつきながらねおんを見た。

ねおんは言い返すことができない。動揺しているのは事実だから……。


「だから黒須もそうやってちょっかい出すのやめろよ。話が進まないだろ……」

何も言うことのできないねおんをフォローするように、陵が言った。

「わりーな…つい」


同じような言葉をさっきねおんから聞いた気がする。
そう思ったのは、さっきから黙って話を聞いている美子だった。
しかし、この場をこれ以上荒立てないようにするために、あえてそのことには触れなかった。
賢明な判断である。


美子がそんなことに気を回していることも知らず、ねおんは話を変えるように言った。
「所で、里谷くんと黒須くんはいつの間にそんなに仲良くなってるの?」

大也が他人に謝ることなんか滅多にない。大也の小さい時を知っているねおんにとっては驚きである。
ましてや、今の大也は悪魔なのだ。考えられることではない。
< 33 / 35 >

この作品をシェア

pagetop