嘘と正義と、純愛と。
もしかして、咄嗟に掴んで引っ張ってきたことが強引だって思って……気にしてくれたの?
確かに今まで何度も今みたいに、腕をいきなり掴まれて引っ張られたことはあるけれど、今同じ感覚にはならなかった。
正直、今までそういうことは潜在意識だから、意図的に気にしないようにしても身体が拒否反応することもあった。
でも、今はそんなふうに感じることもなかった……って、いまさら気づいた。
それだけ私は、いつの間にかこの人のことを信用して――。
「けど、逃がす気はない。そっちから掴んできたんだからな。それに」
自分の手に視線を落としていたら、今度は窺うようにそっと手を重ねられる。
東雲さんは、斎藤さんのことを『怪しい』なんて言っていて、少なからず私も疑問に思うことはたくさんあるんだけど、それを無視してしまうくらいに気になっちゃってる。
だって、何もない私に、こんなに親身になってくれるってどんな理由?
「なんかあるんだろ。仕事中も周りを気にして警戒するくらいに」
ただ優しいだけなんじゃないの? この手を疑うには余りに温かすぎて……。
私の、相手を見る目が合っているのかまるでわからない。
「俺が傍にいてやる。だから、そんな顔しなくていい」
きゅっと握られた手は、力強く感じるけど痛くはない。
その手にまた引かれるように、私たちは部屋から外へと出た。
確かに今まで何度も今みたいに、腕をいきなり掴まれて引っ張られたことはあるけれど、今同じ感覚にはならなかった。
正直、今までそういうことは潜在意識だから、意図的に気にしないようにしても身体が拒否反応することもあった。
でも、今はそんなふうに感じることもなかった……って、いまさら気づいた。
それだけ私は、いつの間にかこの人のことを信用して――。
「けど、逃がす気はない。そっちから掴んできたんだからな。それに」
自分の手に視線を落としていたら、今度は窺うようにそっと手を重ねられる。
東雲さんは、斎藤さんのことを『怪しい』なんて言っていて、少なからず私も疑問に思うことはたくさんあるんだけど、それを無視してしまうくらいに気になっちゃってる。
だって、何もない私に、こんなに親身になってくれるってどんな理由?
「なんかあるんだろ。仕事中も周りを気にして警戒するくらいに」
ただ優しいだけなんじゃないの? この手を疑うには余りに温かすぎて……。
私の、相手を見る目が合っているのかまるでわからない。
「俺が傍にいてやる。だから、そんな顔しなくていい」
きゅっと握られた手は、力強く感じるけど痛くはない。
その手にまた引かれるように、私たちは部屋から外へと出た。