嘘と正義と、純愛と。
斎藤さんは肩を震わせて笑っている。
私は狼狽えた。
私、なんかした? それとも顔になんか付いてる? さっき走ってきたからどっか乱れてる?!
あわあわと身なりを確認していると、彼は笑いを噛み殺すような様子で振り向いた。
「いや、可愛いことしてくれるなぁってね」
そう言って笑いながら、斎藤さんが私のスマホの画面を見せた。
それが目に入った瞬間、一気に顔が熱くなり、咄嗟に携帯を奪うように取り返すと画面を隠して目を泳がせる。
「こっ、これは……!」
はっ、恥ずかしい……! まさかこんなカタチで本人に見られるなんて!
こんなことならさっさと登録しなおしておけばよかった!
【カエル急便】
表示されていたのは電話の履歴。発着信どっちも表示されてたから、気づかれちゃったんだ!
「男の名前で入れるのがヤバかったなら、名前を登録なんかしないで番号だけにしとけば良かったのに」
「あの、これはその、なんていうか」
「じゃあ俺は、常に茉莉からの着信には配達員で出なきゃダメなんだ?」
「まっ……!」
今あまりにさりげなくて聞き流すところだったけど、『茉莉』って。
茉莉って、下の名前を呼ばれた。
広海くん以外の男の人にそんなふうに呼ばれたことってないから、それだけで舞い上がっちゃうのに。そう言った人が斎藤さんっていうのがまた助長させるなんて。
悶絶を堪えるように俯いていると、イタズラな顔をした斎藤さんが私を覗き込む。
「指定されれば、いつでも茉莉んとこに行くよ、俺」
「そっ、そそそそんな! からかわないでください! 確かに名前を勝手に変えて登録してたのは申し訳ないですけど」
「いや。いいよ、むしろそのままで」
「え?」
私は狼狽えた。
私、なんかした? それとも顔になんか付いてる? さっき走ってきたからどっか乱れてる?!
あわあわと身なりを確認していると、彼は笑いを噛み殺すような様子で振り向いた。
「いや、可愛いことしてくれるなぁってね」
そう言って笑いながら、斎藤さんが私のスマホの画面を見せた。
それが目に入った瞬間、一気に顔が熱くなり、咄嗟に携帯を奪うように取り返すと画面を隠して目を泳がせる。
「こっ、これは……!」
はっ、恥ずかしい……! まさかこんなカタチで本人に見られるなんて!
こんなことならさっさと登録しなおしておけばよかった!
【カエル急便】
表示されていたのは電話の履歴。発着信どっちも表示されてたから、気づかれちゃったんだ!
「男の名前で入れるのがヤバかったなら、名前を登録なんかしないで番号だけにしとけば良かったのに」
「あの、これはその、なんていうか」
「じゃあ俺は、常に茉莉からの着信には配達員で出なきゃダメなんだ?」
「まっ……!」
今あまりにさりげなくて聞き流すところだったけど、『茉莉』って。
茉莉って、下の名前を呼ばれた。
広海くん以外の男の人にそんなふうに呼ばれたことってないから、それだけで舞い上がっちゃうのに。そう言った人が斎藤さんっていうのがまた助長させるなんて。
悶絶を堪えるように俯いていると、イタズラな顔をした斎藤さんが私を覗き込む。
「指定されれば、いつでも茉莉んとこに行くよ、俺」
「そっ、そそそそんな! からかわないでください! 確かに名前を勝手に変えて登録してたのは申し訳ないですけど」
「いや。いいよ、むしろそのままで」
「え?」