Someday ~私がいた夏~
 ちょっと涙目になった私を察したかのように電話が鳴る。慌ててベッドから起き上がってせいで軽くめまいを感じながら、私はリビングに向かった。

「はい、石橋です。」

「さくら?葉月だけど・・・」

「あ、うん。今日、楽しかったね。」

「うんうん。ちょっと背中痛いけどね。」

「あはは。日焼けした?」

「かもね。 っていうか・・・」

「ん?」

「さくら・・・本気かな?」

「・・・・・・。さすが、葉月。」

「さくらのあんな顔・・・久々に見た。」

「・・・やばすぎ。」

「私、応援するよ♪ しんどいとは思うけどさ。でも・・・自分の気持ちに嘘ついて隠すより・・・絶対いいと思うから、ね?」

「うん・・・。」


 自分の気持ちを隠す・・・。葉月が誰のことを指しているのかは容易にわかる。


 カイ・・・


 ますます胸が痛くなった。
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